説明が長くなり申し訳ありません。理解しやすいように書いたつもり
です。
1) 子宮体癌の頻度は子宮がん全体の約10%でしたが、最近の10年間で約
30〜40%まで増加しています。
2) 子宮頚がんは、正常組織(子宮頚部)にHPV(ヒトパピローマウィルス
)が感染して、異形成->上皮内がん->がんと進行しますが、スメアテス
トをする事によって異形成になった段階(がんの前段階)で95%前後の病変
を検出できますので、簡便で精度の高い有用な検査法として知られてい
ます。子宮頚がんの検診(スクリーニング)には痛みも出血もないスメア
テストが最も有用です。
3) 子宮体癌の場合は、異型子宮内膜増殖症から子宮体癌に移行する事
は確実だと考えられていますが、子宮内膜増殖症(単純性や混合性)また
は子宮内膜ポリープからの体癌への移行は確認されていません。
4) 子宮体癌の検診には、A)細胞診(その場で簡便に出来る=エンドサイ
トやエンドブラシなど、約2000円負担)、B)生検組織診(その場で出来る
が痛みが強い=内膜の一部を採取して病理組織検査をする方法、4〜5000
円負担)、子宮内膜全面掻爬術(1泊入院や日帰り入院が必要、10000〜25
000円負担)による病理組織診の3通りの方法があります。子宮内に異型増
殖症や体癌があった場合の検査の陽性精度は、スメアテストの95%に比べ
て、エンドサイト20〜40%、生検=病理診断20〜60%、全面掻爬=病理診断
90%以上、となっていてます。
5) 多くの(通常の)子宮内膜病変の場合(ポリープや体癌を含めて)は正
常子宮内膜(当院のHP:?ttp://www.sano-wq.net/TVS_menstuation.html
)と違った子宮内膜に腫瘤形成や子宮内膜の肥厚が生じます。これらの腫
瘤や内膜の肥厚はほぼ90%以上の確率で経膣超音波検査で確認できます。
(個人的な意見ですが)体癌のスクリーニングには経膣超音波検査が最も
有用と考えています。
6) 当院での子宮体癌の検診は、次のように考えて行っています。1)子
宮内膜に正常月経周期の子宮内膜があるかどうか。あれば体がん検診は
しまい。2)閉経後の方では子宮内膜が1〜2mm以内で、腫瘤もなく不正出
血がなければ、体癌検診をせずに、経過観察とする。月経女性の子宮内
膜に、腫瘤・肥厚・不正などがある場合は、患者さんの年齢・不正出血
の有無・体癌の危険因子(月経不順や肥満など)の有無、などによって、
A)経過観察、B) エンドサイトやエンドブラシ、C)局所麻酔下の一部生検
、C)日帰り入院による「子宮内膜腫瘤切除術と子宮内膜全面掻爬」のい
ずれかを行っています。
長々と書きましたが、結論を申しますと「子宮体癌は、経膣超音波検
査で異常がなければ、まず心配ないこと」です。その際に最も重要なの
は「担当のDrが子宮内膜の状態を正確に観察し把握したか」だと思いま
す。さくらさんの場合は、おそらく経膣超音波検査で子宮内膜が正常所
見で異常がなかったのではないでしょうか。担当のDrにその事を確認し
てみたらどうでしょうか。
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