生理痛(月経困難症)について

 「生理痛は自然なものだから我慢しなさい!」との意見には反対です。生理痛(月経痛)の強い女性には子宮内膜症が8倍も多く発症します。初潮が始まると同時に結婚し妊娠していた昔は、内膜症は稀な病気でした。晩婚の現代では150人に1人が内膜症のため通院しているという報告があります。

 子宮の内膜は、黄体ホルモン(と共に卵胞ホルモン)が急激に減少することによって剥離します。その時の子宮内膜の断片と血液が混じったものが子宮から出て来るのが生理(月経)です。生理の血液には子宮内膜が剥離するときに産生された「痛み物質(プロスタグランディンPGs)」が含まれています。この痛み物質を多く吸収すると子宮や大腸の筋肉が強く収縮し生理痛や下痢が起きます。プロスタグランディンの一部は血管を拡張する作用もあり、多くの人では頭の血管が拡張します。その結果血液が多く流れることになり、脳圧が上がって、頭痛や吐気を起こします。

 未婚婦人は子宮頚管(子宮の出口)が狭く月経血が流れにくいため、月経血の一部は卵管から腹腔内に流れていきます。その結果、痛み物質が腹膜から吸収されて、子宮や大腸の筋肉が強く収縮し生理痛や下痢が起きやすくなると言われています。出産後に生理痛がなくなるのは、出産によって子宮の出口が広がり月経血の中の痛み物質が体外に出やすくなり吸収が減るためです。子宮内膜症がなくて生理痛が強い方のほとんどが、このような理由で生理痛が起こっているので、鎮痛剤や経口避妊薬(ピル)が有効となります。

 子宮内膜症があると、子宮や卵巣や骨盤の子宮内膜症の病変部位で痛み物質が放出されますので、出産によっても生理痛は軽くなりません。出産後(帝王切開を除く)も生理痛が強い方は婦人科で診察を受けてみて下さい。膣からの超音波検査では子宮や左右の卵巣の微細な状態まで診断ができます。内膜症があれば「早く次の妊娠を」と勧めますが、治療中は妊娠しないので、治療を先にするか/治療なしで妊娠を勧めるかは、内膜症の程度や年令などから判断します。

 経口避妊薬(ピル)は「避妊目的」以外にも様々な症状に有効で、「月経痛が軽くなる」、「子宮筋腫が大きくなりにくい」、「子宮内膜症が悪化しにくい」などの利点があります。

トップへ戻る

ホームへ戻る