産婦人科一般外来について 

 産婦人科一般外来という表現は、言葉の意味から言って産婦人科の総ての分野の診察をすると言う意味なのでしょうか。しかし実際には1人の医師が産婦人科の全分野の患者さんを診察し(診察だけなら誰でも出来ます)、正しい「診断と治療」ができる事は極めて特殊な状況です(私が教わった多くの産婦人科専門医の中には、そのようなことが出来る理想の先生はわずか数名でした)

 産婦人科医の多くは、各地の大学病院や総合病院の産婦人科で研修を始めます。現在働いている産婦人科専門医の多くは、最初の2年間で産科婦人科学の初期研修(正常分娩の取り扱いや比較的簡単な婦人科手術の助手など)を受け(平成16年度からはスーパーローテート制といって最初の2年間の各々3〜4ヶ月を内科・外科・小児科・麻酔科などの研修をすることになりました)、その後の3年間で後期研修(異常分娩の取り扱いや高度な手術の助手など)を受けた方達です。それらの先生方は、5年間の研修が終了し研修の成果を評価するための日本産婦人科学会の認定医試験を受け合格されています(小生を含めた昭和60年以前の産婦人科医は認定医試験は免除されたので受けていません)。
 多くの医師は学会認定の専門医になったあとも、更に数年〜10数年をかけて専門的な指導医の元でさらに研修を続けます。一般的には一人前の臨床医(専門医)の誕生には良い指導医のもとで更に数年間の研修が必要であると考えられています。

産婦人科医にはそれぞれ専門があります

 一般の産婦人科医にはそれぞれ専門があり得手/不得手があります。産婦人科を大きく分けると3つの専門に分かれます。(1)周産期医学(妊娠合併症、異常分娩、胎児医学/新生児医学など)、(2)婦人科内分泌学(月経異常、不妊症、子宮筋腫、子宮内膜症など)、(3)婦人科腫瘍学(子宮がん、卵巣がんなど)です。
 専門コースに入ると専門分野の知識や技術は上達しますが、他の専門分野の診療や研究はほとんどしなくなります。その結果、周産期専門の医師の多くは帝王切開以外の手術をしなくなり、不妊内分泌学専門の医師の多くは癌の診断や治療をしなくなり、婦人科腫瘍学(がん)専攻の医師の多くはお産から遠ざかることになります。そのため、産婦人科では症状や病状によって受診する病院を変更する必要があることがあります。産婦人科の病院/診療所を受診する時には、その病院の産婦人科が婦人科専門なのか産科専門なのか、その診療所の医師の専門は何かなどを知っておくことが重要です。
ただし通常は、受診した患者の病状が自分の専門ではないと判断した際には、その病状に合った専門医や専門医のグループを紹介し、紹介状を書くのが普通です。

医師の技能を評価する

 わが国では総合病院の医療レベルを評価する方法はあっても、医師個人の技能を評価する方法はほとんど存在しません。ただし仲間内では、先輩や後輩の医師のレベルを4段階ぐらいに分けることがあります。
 [0(ゼロ)]:知識(診断)と技術(治療)が期待できない。
 [A]:基本的な知識と平均的な技術がある。
 [B]:十分な知識と平均以上の技術がある。
 [C]:最先端の高度な知識と技術がある。
 
*[レベルC]は医師個人の優れた技能に加えて、高度な医療設備・十分な訓練を受けた医療スタッフ、などが必要です。
 福岡市内にはランク[C]の医師は各分野にそれぞれ数名〜10名以内しかいませんので、[C]の医師を受診する場合の多くは[A]か[B]の医師から紹介されて受診することになります。
 
{参考ですが、わが国ではどのレベルの医師の診察/治療を受けても費用は同額(レベルが低いほど余分な検査をしたりミスが増え高くなる?)ですが、米国ではレベル0(ゼロ)の医師はほとんど無料・レベルの高い医師(または病院)の診察/治療ほど費用が高くなります。また医療保険に加入すると保険料などによって受診できる病院が限定されることもあります。}

 小生の場合を自己診断すると、婦人科癌=[A]、周産期医学=[A]、不妊治療=[B]、習慣流産=[B〜C]、子宮内膜症=[B〜C]、良性疾患(子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症など)の手術=[B〜C]、婦人科感染症=[B]だと思います。

 私自身は最初の3年間で一般産婦人科の初期研修を受け、その後5年間は基礎医学(細菌学・免疫学)を学び、再び産婦人科の後期研修に取り組みました。卒業後10年目から婦人科内分泌学(不妊症・習慣流産)を専攻し、数多くの子宮内膜症手術・子宮筋腫の保存手術(核出術)・腹腔鏡下手術(10年間で約500例)に取り組みました。ただし専攻を決めた後も、外来主任や病棟主任の2〜3年間はほとんど癌患者ばかり診療していた時期もあり、開院前の6年間には約500例のお産(周産期)にも立ち会いました。これらの時期は専門分野が広がり良い経験をしたと考えています。

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