卵巣癌検診について


 超音波診断が発達した今では経膣(ちつ)超音波を使えば、正常な子宮、正常な子宮内膜の状態、正常卵巣やどちらの側の卵巣から排卵したかも判るようになりました(ただし月経がなくなった閉経後の女性の多くは卵巣が見えないことがあります)。
 以前は内診や
経腹超音波で異常な所見(大きいとか腫瘤があるとか)が発見できなければ正常と診断していたのに、最近では多くの場合、正常な子宮/正常な子宮内膜/正常な卵巣を確認して異常が無いと言えるようになりました。

 排卵が起こっている女性では、排卵した方の卵巣が数cm(多くは3〜6cm)の大きさまで腫れることがあります。これは排卵後の黄体嚢胞や卵巣出血です。症状が無い時と腹痛がある時があります。症状がなく他の理由で受診した時の診察で偶然見つかることも多くあります。ほとんどが2〜3週間から1ヵ月以内に消えますので、痛みがない時は経過を見るだけで十分です。卵巣出血では、出血が多かったり/卵巣が破裂していたりすると痛みを伴います。急に下腹痛が出現し救急車で病院に搬送された場合、外科を受診すると多くのケースが急性腹症・卵巣出血・腹腔内出血の診断で手術を受けますが、婦人科を受診した場合は、卵巣からの出血が止まっていないと判断して手術へ移行する症例は約5%ぐらいで、残りの約95%は出血がすでに止まっていて安静と痛みの対症療法だけで手術をせずにすみます。

 経過観察しても消えない卵巣の腫れは卵巣腫瘍として取り扱います。卵巣嚢腫の場合は腫れた卵巣の中身が何かが重要です。嚢腫の中身には、水のような液体・粘液・古くなった血液(チョコレート嚢腫=子宮内膜症)・脂肪やカルシウム(皮様嚢腫)などがあり、中身が判ると診断も容易です。ほとんどの腫瘍の中身は超音波検査で推測できますが、時には紛らわしいものもあります。そのためCTやMRI検査のどちらかを行いますが、CTもMRIも両方が必要な事はめったにありません。
 卵巣に腫瘍があることが確定すると、その後は良性か悪性(卵巣癌)かの鑑別、と良性であるが放置した場合の悪性化の可能性が問題となります。良性と診断するには画像診断が最も有効ですので、初診時の超音波検査が最も重要です。良性と悪性とを見分けるのに腫瘍マーカーを用いる事がありますが、良性のチョコレート嚢腫でもCA-125が、良性の皮様嚢腫でもCA199とSCCが上昇しますので、必ずしも役には立ちません。最終的には手術前の超音波やCT/MRIの画像の検査で、
(A)ほとんど100%良性に近い嚢腫(しかし放置すると将来卵巣嚢腫の茎捻転や悪性化の危険がある)と、(B)それ以外の悪性の可能性がある卵巣腫瘍とに分けられます。

 (A)の良性の場合は、開腹手術をせずに腹腔鏡下手術をするのが最近の方式です。お腹の傷も最小限で、術後の痛みや腹腔内の癒着も少なく、入院期間も短く、社会復帰も早くなります。当院では浜の町病院やその他の病院と連係と取り、患者さんをそれらの病院に送って手術を行っています(毎週木曜日の午後をそのような手術に当てています。)

 (B)の悪性の可能性がある場合は、手術中に悪性か良性かを決めるための病理検査(術中迅速病理検査と言います)を用意し、悪性度に応じた手術を行います。当院では(B)の可能性がある場合は婦人科癌の専門病院を紹介しています。

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